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隈研吾が手がけたスタバ×霧島酒造の新施設「icoia」─ サツマイモ発電で過ごすコーヒー時間
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隈研吾が手がけたスタバ×霧島酒造の新施設「icoia」─ サツマイモ発電で過ごすコーヒー時間

Ryomaby Ryoma||5 min read

スタバと焼酎蔵が出会った場所

宮崎県都城市に、これまでにないスターバックスがあります。

2026年1月27日にオープンしたKIRISHIMA GREENSHIP icoia(キリシマ グリーンシップ イコイア)。スターバックス コーヒー ジャパンと霧島酒造が手を組み、建築家・隈研吾氏が設計を手がけた複合施設です。

コーヒーを飲みながら亜熱帯植物園を眺め、屋上庭園から霧島山を一望する。しかもその電力はすべて、焼酎づくりの副産物であるサツマイモから生まれている――。ちょっと信じがたい話ですが、実際にそんな場所が存在しています。

施設情報

項目詳細
正式名称KIRISHIMA GREENSHIP icoia(キリシマ グリーンシップ イコイア)
オープン日2026年1月27日(火)
所在地宮崎県都城市下川東4丁目5869-8
敷地面積4,686㎡
延べ床面積712㎡
座席数73席(屋内57席、テラス16席)
駐車場第1駐車場35台 + 第2駐車場30台
定休日不定休

営業時間

エリア営業時間
スターバックス店舗・芝生エリア7:30〜22:00
植物園「めぐりの森」・屋上庭園「見晴らしの丘」9:00〜19:00
KIRISHIMA LIFE STORE ipomea10:00〜19:00

3つの空間で過ごす、それぞれの時間

この施設は大きく3つのエリアで構成されています。

スターバックス店舗

都城市で初めてのドライブスルー併設店舗です。隈研吾氏の設計により、壁面にはコーヒーかすとシラス(火山灰の一種)を混ぜた建材が使われ、エントランスの天井には地元の晒竹(さらしだけ)があしらわれています。自然素材に包まれた、温かみのある開放的な空間が広がります。

植物園「めぐりの森」

ガラス張りの植物園には約80種類の亜熱帯植物が育っています。「暮らしを支える植物」「味覚で楽しむ植物」「彩りを添える植物」「水と共に生きる植物」の4つのテーマで構成され、コーヒーの木やさつまいもが育つ様子も間近に見ることができます。

この植物園の暖房には、焼酎づくりで生じる蒸留温排水の熱エネルギーが活用されています。本来なら捨てられるはずの熱が、植物を育てる力に変わっているわけです。

屋上庭園「見晴らしの丘」

施設の屋上に設けられた庭園からは、霧島山や沖水川の景色を一望できます。夕暮れどきには山々が夕陽に染まり、コーヒー片手にぼんやり眺めるだけで贅沢な時間になりそうです。

このほか、芝生エリア「いこい庭」や霧島酒造の直営店「KIRISHIMA LIFE STORE ipomea」も併設されています。

サツマイモが生み出す電力

この施設でもっとも特徴的なのは、運営に必要な電力を**100%「サツマイモ発電」**で賄っている点です。

霧島酒造の焼酎づくりでは、原料のさつまいもから焼酎粕(かす)や芋くずが大量に発生します。これらをメタン発酵させてバイオガスを生成し、電気に変換。その電力で施設全体を動かしています。

さらに、スターバックス店舗で出るコーヒーかすも同じメタン発酵のプロセスに投入されます。コーヒーかすを発電に利用する取り組みは、国内のスターバックスでは初めてのことです。

焼酎の副産物がコーヒーを淹れる電力になる。そんな循環が、この場所では日常的に起きています。スターバックスが創業以来掲げてきたサステナビリティへの取り組みが、霧島酒造との協業によってここまで具体的な形になった好例です。

隈研吾氏の「土地に溶け込む」設計

建築家・隈研吾氏は「その土地の環境、文化に溶け込む建築」を信条としています。スターバックスとの仕事では、福岡・太宰府天満宮表参道店(2011年)の木組みファサードが広く知られていますが、今回の施設ではさらに踏み込んだアプローチが見られます。

竹をふんだんに使った内装、火山灰を混ぜた壁材、蒸留排熱を活用した植物園。すべてが宮崎・都城という土地の資源と結びついています。建築そのものが、この地域の循環の一部になっているのです。

こんな過ごし方がおすすめ

この施設は「ちょっとコーヒーを飲みに寄る」だけではもったいない場所です。

  • 植物園をゆっくり散策 ─ コーヒーの木が実をつける様子を眺めながら、トロピカルな空間でひと息つく
  • 屋上庭園で霧島山を眺める ─ 天気のいい日なら、コーヒー片手に山並みを一望。夕暮れどきがとくにおすすめ
  • 芝生エリアでのんびり ─ お子さん連れでも気兼ねなく過ごせる開放的なスペース
  • 霧島酒造ショップも覗いてみる ─ 併設の「KIRISHIMA LIFE STORE ipomea」では焼酎や関連商品を購入できる

朝のコーヒーから夕暮れの散歩まで、時間帯によってまったく違う表情を見せてくれる施設です。

アクセス

手段詳細
最寄り駅JR都城駅から徒歩約18分
都城IC(宮崎自動車道)から約10分
駐車場第1駐車場35台、第2駐車場30台(計65台)

都城駅からは徒歩だとやや距離があるため、車でのアクセスが便利です。ドライブスルーにも対応しているので、旅行の途中に立ち寄るのにもちょうどいい場所です。

まとめ

「KIRISHIMA GREENSHIP icoia」は、スターバックスが「居心地のいいカフェ」のその先を見せてくれる施設です。サツマイモ発電、コーヒーかすの再利用、蒸留排熱の活用。地域の資源が循環する仕組みの中に、コーヒーを楽しむ空間がある。

宮崎への旅行や出張の際には、ぜひ立ち寄ってみてください。霧島山を眺めながら飲む一杯は、いつものスタバとは少し違った味がするかもしれません。都市部のスタバとはまったく異なるロケーションに興味がある方は、全国の個性的な立地にあるスタバも合わせてどうぞ。

Ryoma

筆者について

Ryoma

フリーランスデザイナー。週末はスタバをハシゴしながら、次に何をつくるか考えるのが好きな時間。

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